電気自動車の弱点と言われている航続距離(1回の充電で走れる距離)を伸ばすために、メーカーや大学で信号待ちの間に、電気自動車の充電をできるようにする研究を進めています。
電気自動車の大きな悩みはガソリン車に比べて航続距離が短いこと、充電できる場所がまだ整備されていないことでしょう。
その悩みを同時に解決できるかもしれないのが道路で充電するという方法です。
原理としてはスマートフォンのワイヤレス充電と同じですが、それを非接触で行います。
このシステムは日本だけでなく世界で研究されていて、すでに乗用車クラスのEVを想定した実験も成功しています。
アメリカのジョー・バイデン大統領は電気自動車普及のために今後10年で50万個のプラグを新設すると公約しています。
実現するかどうかはまだわかりませんが、今ものすごく注目されている研究のひとつということは間違いありません。
信号待ち中のEV充電の仕組みはどうなってるの?
大まかな原理はスマートフォンのワイヤレス充電の原理と同じです。
道路に埋め込まれた充電装置の上に停車すると自動的に充電されるとイメージしてください。
ワイヤレス充電では「磁界結合方式」と「磁界共鳴方式」が用いられることが多いですが、道路に埋め込む方式では
非接触が求められるため「磁界共鳴方式」を用いて研究が進められています。
すごく簡単に言うと、電気を放出する装置と受信する装置が一定の距離に近付くと共鳴して充電できるという感じです。
このシステムでは大掛かりな設備を必要としないようで、ガソリンスタンドに代わる給電設備を新設するより手間は大幅に軽くなります。
日本は地震や台風など災害が多いので、その分慎重に進めなければならない部分もあるとは思います。
ですが、日本は都心だけでなく地方にいたるまでインフラ整備が進んでいる国でもあるので、政府が積極的になれば大きく進むかもしれません。
電気自動車が信号待ち中にEV充電ができる時代はいつ頃か?
IHIとアメリカベンチャー企業の共同開発や大手メーカー大学の研究室など、色々なところで研究と実験が行われていて、技術的には完成は遠くないと見られています。
ですがアメリカの大学で研究している研究チームは、主要道路に普及されるには完成から5~10年かかると考えていると言っています。
広く普及するまでにはまだ少し時間がかかりそうです。
電気自動車に対して、積極的な欧米でも普及に5~10年かかるのであれば、電気自動車の普及に海外ほど積極的でない日本ではまだまだ先の話かもしれません。
バイデン大統領が公約に掲げている10年で50万個のプラグを新設するという公約も専門家からは難しいという意見もあります。
ですがトヨタや日産も開発に力を入れているので、電気自動車の普及が急がれるヨーロッパなどで実験的にでも導入されれば、日本国内での注目も高まりそうです。
まとめ
日本では、電気自動車を普及させるうえでどうしても災害と電力供給量の問題がでてきてしまいます。
また、発電の際に二酸化炭素を多く排出する火力発電がメインであることから電気=環境に配慮とはいきません。
ですが電気自動車には蓄電池としての機能もあるので、災害が多い国だからこそ普及させたいという一面もあるのではないでしょうか。
信号待ちの間に給電可能になれば便利なのはもちろんのこと、渋滞の緩和など社会的なメリットが生まれる可能性もあります。
電気自動車に対して懐疑的な人もいるかもしれませんが、研究をすることはとても大切です。
10年後の未来には私たちの想像を超える装置ができているかもしれないと思うとワクワクしますね。