賃上げ税制とは「賃上げ促進税制」のことで従業員の給与引き上げを支援する国の制度です。
従業員の給料を前年度より一定以上アップさせた企業や個人事業主の税額を控除して、賃上げをする企業を応援するシステムになっています。
従業員の給与(ボーナス含む)と教育訓練費が制度の対象で、中小企業であれば法人税が最大で40%控除される見込みです。
賃上げ税制は全体の従業員に対して給与支給額が前年に比べて1,5%以上アップした場合や教育訓練費が10%以上増加した場合に適用されます。
給与引き上げのためのシステムではあるのですが、取り入れた企業の従業員の給料が必ず上がるわけではありません。
企業が人員を増やす目的で制度を利用したいのか、全体の給料を引き上げるために利用したいのかで変わってきます。
優遇される税は法人税に限りますので、ある程度所得のある企業でないと取り入れるメリットはありません。
賃上げ税制で法人税の控除率が大幅に上がる?
賃上げ税制が適用される企業が一定以上の賃上げを行えば、法人税の控除率は大企業であれば最大30%、中小企業であれば最大40%が控除されます。
以前は大企業が最大20%、中小企業が最大25%だったのでかなりの大幅アップです。
特に中小企業は大幅にアップすることで制度を利用して賃上げや増員を考える企業が増えることを期待されます。
制度を利用する際の摘要の基準は前年との差なので、今年度立ち上げたばかりの新規事業所には適用されません。
個人事業主も対象となりますが、青色申告でないと適用されないので白色申告の方や今年度から青色申告にした企業は賃上げしても適用されないのでご注意ください。
令和4年度から控除率が上がっただけではなく対象内容にも変更がありました。
大企業では新規雇用者への賃金のみが対象だったところ継続雇用者への賃金も対象になります。
企業にとってコツコツ長く働いてくれる人の存在は大切です。そういう人への評価につながるといいですね。
賃上げ税制で給料は本当に上がるのか?
企業が賃上げ税制の制度を利用したからといって必ず従業員の給料が上がるとは限りません。
例えば企業が賃上げ税制が適用されるくらい人を雇う場合、1人あたりの給料には変化がない可能性があります。
また教育訓練費にも制度が適用されるため、企業が教育に力を入れるために取り入れた場合給料に反映することはないかもしれません。
とはいえ給与・ボーナス・人員増員・教育訓練費の増加がなければ絶対に適用されない制度なので、給料以外のことでも環境が良くなる可能性は高いです。
税制面での優遇が法人税に限定されているため、そもそも納めている法人税が少ない企業が取り入れてもメリットがない場合もあります。
給料増額分がコスト増になってしまうので、中小企業で取り入れたいと考えている場合は総合的な判断が必要になるでしょう。
まとめ
私はサービス業に従事していたことがありますが、人員は常にギリギリという企業がほとんどでした。
売上と人件費の関係上しかたない部分があるのはわかるのですが、それによって体調を崩した時でも休みずらいなど環境が悪くなります。
さらに忙しいけれど給料が上がるわけではない状況で従業員のモチベーションが下がりやすく、最悪の場合、離職となってしまいます。
売上が上がらないと増員できない、増員しないと売上が上がらないという「鶏が先か卵が先か」という答えを出すのが難しい問題をどこも抱えていました。
サービス業に限らず、制度を利用して職場環境の改善をすることは誰にとっても良いことなので、うまく利用して多くの人が働きやすくなるといいですね。