先日のオリンピックでは、大量のドローンによって地球や大会エンブレムが描かれて話題になりました。
ひと昔前までは、ドローンのような物体が理路整然と空を飛ぶなんて想像ができませんでしたが、プロペラ(ローター)を持つ点でヘリコプターと似ていますね。
技術はますます進歩し、昨今では空飛ぶ車の開発も進んでいます。
トヨタなどの大企業も開発中ですし、新興企業も次々と参入しています。
ウェブサイトなどで空飛ぶ車の紹介動画を見てみるとドローンを大きくしたような、もしくはヘリコプターに似ているような飛び方をしています。
では、そもそも空飛ぶ車とヘリコプターにはどのような違いがあるのでしょうか。
結論から言えば、ヘリコプターは、ローター(回転翼)の羽の傾きを制御することで、飛行をコントロールしている航空機であるのに対し、空飛ぶ車は、電動で離着陸に滑走路が不要且つ操縦者を必要としない航空機であれば、その仕様はさまざまだと言えます。
即ち、どちらも航空機の一種なのですが、空飛ぶ車はその用途に応じてよりフレキシブルな対応が可能であるといえるでしょう。
今回は、空飛ぶ車の仕組みや、いつから乗ることが出来るのか等をご紹介していきます。
空飛ぶ車はどうやって飛ぶの?仕組みを教えて!
実は、空飛ぶ車の仕組みに明確な定義はありません。
経済産業省は、空飛ぶ車を「電動垂直離着陸型無操縦者航空機」と定義しています。
したがって、電動で動く地面から垂直に離着陸可能な機体であれば、必ずしも自動車としての機能を持つ必要はなく、地上を走れなくてもよいのです。
現在は、その中でもeVTOL(「イーブイトール」と読みます)という、ドローンをベースにしたものや、電気自動車をベースにしたものの開発がさかんです。
このような機体では、滑走路が不要で騒音が少ないことが特徴とされています。
その他にも駆動時に温暖化ガスを出すことなく、整備コストがヘリコプターと比べて安いといったメリットもあります。
一方、ヘリコプターは通常電動ではなく、機体中央上部にあるメインローター(回転翼)を回転させることにより、揚力(機体を上方へ引っ張り浮き上がらせようとする力)と推力(機体を前進させようとする力)を生じさせて飛行するので eVTOLには含まれません。
さらに、メインローターによる飛行を可能にするために必要なテールローターの制御音は、ヘリコプターによる騒音の大きな理由となっています。
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空飛ぶ車はいつから乗れるようになる⁉近い未来に可能性が…
現在、大企業から大学発ベンチャー企業まで多くの企業のよってeVTOL技術による空飛ぶ車が開発されています。
政府は下記ロードマップを発表しており、2030年代の本格導入を目指しています。
2023年頃
空飛ぶクルマのパイロットサービス開始
2025年頃
空飛ぶクルマを活用した輸送サービスが本格的に開始
2020年代後半頃
空飛ぶクルマを活用した輸送サービスが拡大、救急輸送サービスの開始
2030年代頃
空飛ぶクルマの飛行エリアの更なる拡大、オンデマンド運航等の拡大
*経済産業省、第7回 空の移動革命に向けた官民協議会資料より
まとめ
以上、空飛ぶ車についての仕組みやヘリコプターとの違いについて見てきました。
今回ご紹介した空飛ぶ車はヘリコプターというよりも、ドローンの真ん中に人が乗ることができるイメージにより近いのではないでしょうか。
企業によっては、他にもバイク型やSF小説に出てくるような小型飛行機のような形状をしたもの等の開発も進めています。
今後、どのようなタイプの空飛ぶ車が実用化されていくのか楽しみですね。